知っておきたいレーシック基本情報

エピレーシック

○ エピレーシック(EPI-LASIK)とは

 エピレーシックは、一般的なレーシックとほとんど施術上の流れに違いはありません。違うのは角膜上皮でフラップを作成する際、一般的なレーシックではレーザーやマイクロケラトームを使用したりするのに対し、エピレーシックでは「エピケラトーム」という専用の機器を使用する点です。

○ 角膜の構造について

 人間の角膜はまず「上皮層」が50ミクロン、その下に「ボーマン膜」という10ミクロン程度の膜があり、その下に400~600ミクロンほどの「角膜実質層」があります。さらにその下にはデスメ膜という10ミクロン程度の薄い膜があり、一番下には「角膜内皮層」という50ミクロンほどの膜があります。角膜内皮層は角膜全体に栄養や酸素を運ぶ働きをしています。
 つまり角膜は5重構造になっているわけです。これを頭に入れてエピケラトームとマイクロケラトーム、そしてイントラレーシックの違いを理解しましょう。

○ エピケラトームとマイクロケラトーム

 現在のレーシックはマイクロケラトームと呼ばれる特殊な刃物でフラップをつくるタイプと、レーザー光線でフラップをつくるタイプ(これがイントラレーシック)に分かれています。マイクロケラトームでフラップをつくると、医師の技量にもよりますがおよそ150ミクロンの厚みになります。これでは角膜上皮だけではなくボーマン膜、そして角膜実質層の一部までもフラップとして削ってしまうことになります。
 一方、エピケラトームもマイクロケラトームと似た特殊な刃物ですが、マイクロケラトームよりも薄い、50ミクロン程度のフラップがつくれます。つまり角膜上皮だけをめくってフラップにできるのです。 「角膜が薄くてレーシックは無理という人でもエピレーシックなら受けられる」というのはこの違いによるものです。

○ エピレーシックのメリットとデメリット

 エピレーシックは角膜実質層を削る量が少ないため、もし再手術を受けることになっても角膜への負担が少ないというメリットがあります。またエピレーシックのフラップ部分は新陳代謝でやがてすっかり新しい細胞と入れ替わるのでフラップにズレやシワが発生する心配はあまりありませんし、一般的なレーシックより物理的な衝撃にも強く、スポーツ選手など激しい運動をする人に向いています。
 (ただし現在はイントラレーシックの精度も大幅に向上したため、以前ほどの差はなくなったともいわれています)

○ もっとも、エピレーシックにもデメリットはあります。

 角膜のうち上皮層だけは痛みを感じるため、上皮層だけをめくってフラップをつくると一般的なレーシックよりも痛みが長く残ります。またフラップが薄いので安定するまでは眼を専用のコンタクトレンズで保護しなくてはなりません。