知っておきたいレーシック基本情報

レーシックによる視力低下

○ レーシックで近視や遠視の進行は止められません。

 近視や遠視、あるいは乱視の人でも、若いうちは体質や生活習慣によって屈折異常が進行していくことがあります。特に近視の人の場合、生活習慣的に細かい文字を至近距離で見ることなどを続けていると近視は進行してゆくようです。これはコンタクトレンズや眼鏡を着用している人でもよく起こり得ることです。

 残念ながら、レーシックには進行する近視などをくいとめる効果はありません。レーシックが屈折異常を矯正する方法も光学原理としてはコンタクトレンズや眼鏡と同様のため、水晶体あるいは眼球の形状などに影響を与えることはできないためです。

 そのため、せっかくレーシックで一時的に正常な視力を取り戻しても、数年後にまたコンタクトレンズや眼鏡が必要になったり、再手術による矯正が必要になる場合もあります。ただし進行性の屈折異常によるレーシック手術の繰り返しは、角膜の負担を考えるとあまりお勧めできません。ある年齢まで様子をみて眼の状態が安定するのを待つか、生活習慣そのものを改善する必要があるかもしれません。

○ レーシックでコンタクトレンズや眼鏡の度を緩和することはできます。

 屈折異常があまりに強度な人は眼鏡の度をきつくし過ぎて中心視野と周辺視野の歪みがひどく、足元の遠近感がとりにくいため階段や段差に注意しなくてはならない、というような状況が考えられます。また、コンタクトレンズでもあまりに矯正量が大きくなると矯正しきれなくなるという問題が発生します。
 このような強度の屈折異常の人に対しては、「レーシックで裸眼で日常生活を」というところまでの矯正は無理でも、コンタクトレンズや眼鏡との併用で日常生活に不自由がないレベルにまで矯正することが可能な場合はあります。

○ レーシックが原因で起きうる視力低下とは

 私たちが一般に「視力検査」という場合、5メートル離れた場所にある視力検査表の「C」の文字のどこが離れているか(これをランドルト環といいます)を片眼で判別する方法が一般的と思われます。
 この場合の視力とは、「5メートル離れた場所」に対する視力です。ところが実際に私たちが日常生活でもっとも「よく見たい距離」は必ずしも5m前後とは限りません。スポーツ選手やドライバーなら遠方を見る視力が必要でしょうし、PCワークや細かい文字を読むことが仕事の中心となる人であれば、1m以内の近距離視界が詳細に見えた方が好都合です。  しかし、世間で屈折異常に悩む人のパーセンテージは近視の人が圧倒的に多く、レーシックも近視の矯正を施術の中心として発達してきました。近視の人に対するレーシックは中~長距離の視力を向上させることで効果が実感できます。この場合、視力検査表などで数値として視力の向上を確認することもできます。
 ところが、この数値的な視力の向上が必ずしも実生活の中で「視力がよくなった」「よく見えるようになった」と実感できるかどうかは別の話です。これが「レーシックで起こり得る隠れた視力低下」なのです。

 レーシックは「眼がよくなる手術」ではなく、「眼の屈折異常を矯正する手術」ですから、レーシックを受ける際は中~長距離の視力を数値的に高めることばかりでなく、自分がいちばんよく眼を使う距離がいちばん見えやすいように矯正率を補正することも大切です。